2021年9月12日聖霊降臨後第16主日(特定19)

主よ、わたしの岩、わたしの贖い主、わたしの言葉と思いがみ心にかないますように アーメン

ニュースによりますと、先週の9日木曜日に政府は兵庫を含む19の都道府県に発令中の緊急事態宣言について9月30日まで延長することが決定されました。コロナ過で、特に人との距離が気になりますが、コロナ以前から、自分が他人からどのように思われているのかを気にする人はかなりおられました。

NHK朝のドラマの中で、新任のお天気キャスターの女性が、インターネットを使って視聴者が自分をどう評価しているかを調べ、その低さに落ち込むと言う場面がありました。人気が重要な職業の方だけでなく、インターネットを使えば、一般の人でも周囲の人が自分をどのように見ているのかということを調べることもできるようです。もちろん、そんな周囲のことなど気にしないことも一つの方法かもしれませんが、誰でも他人から良く見られたいと思ってしまうものです。

本日の福音書、マルコによる福音書8章27節から38節までの物語の中で、イエス様は「人々は、わたしのことを何者だと言っているか」と言われています。これはイエス様が自分の人気を気にされて言われたことではなく、弟子たちに対して彼らの信仰を問われる問いかけであったのです。ですから、このイエス様と弟子たちとの会話の中で重要なことは「あなたはメシアです」と言うペトロの回答なのです。メシアとはヘブライ語で救い主と言う意味ですが、イエス様の本当の目的は弟子たちに、メシア(救い主)とはいったい何者なのかということを教えることにありました。なぜならば、弟子たちだけでなく、多くの人はイエス様が聖なる力を使ってローマ帝国を滅ぼし、イスラエル王国を再興し、繁栄させてくださる王様になると信じていたからです。けれども、イエス様の使命、メシアの働きはそのような武力による支配ではなかったのです。けれども、ペトロは、勝利者であるはずのイエス様が、殺されると言う言葉をどうしても受け入れられません。イエス様は死の先にある復活について教えられましたが、イエス様の死につまずいたペトロにはイエス様が語られた「復活」という言葉は聞こえませんでした。イエス様に発言を撤回させようといさめ始めたペトロにイエス様は「サタン、引き下がれ。あなたは神のことを思わず、人間のことを思っている。」と言われました。サタンは神様のみ心をはばむ者であり、「引き下がれ」とは、後ろに行きなさいと言うことです。ペトロは自分のメシア像をイエス様に当てはめようとしたため、神様の救いのみ業を行うイエス様の働きを拒む者としておしかりを受け、イエス様の後に従うことを求められたのです。

つらい現実を変えることは困難かもしれませんが、自分や周囲の人の痛みや苦しみを自ら背負いつつも、イエス様に従って神様のみ守り、支え、励ましに感謝して歩んでいくことができる、そんな生き方は素晴らしい人生です。そんな尽きない喜びを神様への信仰によって、いつも持てる者でありたいと思います。

本日の使徒書の中で、聖ヤコブはイエス様が教えられた愛の実践について語っていますので、最後にそのみ言葉に心を傾けたいと思います。

「もしあなたがたが、聖書に従って、『隣人を自分のように愛しなさい』という最も尊い律法を実行しているのなら、それは結構なことです。」ヤコブの手紙2章5節