2021年2月21日 大斎節第1主日

主よ、わたしの岩、わたしの贖い主、わたしの言葉と思いがみ心にかないますように アーメン

13日の夜に東日本大震災の余震とみられる地震が東北地方を中心に発生し、100名以上の方が負傷されたようです。被災された方々の上に神様のお守りと恵みをお祈りいたします。東北教区からの報告によりますと、教会などの建物の被害はあるものの人的被害は報告されておりません。しかし、いつの間にか大震災を過去の出来事としてしまい、災害への備えを忘れていたことを反省させられました。

教会の暦では、先週の水曜日から大斎節に入りました。元々、大斎節は、復活日に洗礼を受け、クリスチャンとなられる方の準備のために設けられた期間でしたが、4世紀頃から悔い改めの期間として教会全体で守られるようになりました。さらに7世紀頃には、主日を除く40日間を大斎節とすることが定着しました。ちなみに、40日と言う日数は、イエス様が荒れ野で過ごされた期間に由来していますが、聖書には重要な日数として記されています。旧約聖書には、ノアの洪水は40日40夜続きました。モーセはシナイ山で、神様から十戒を授かるために40日間の準備をしました。預言者ヨナによって語られた神の裁きを聞いたニネベの街の人々は40日間、罪を悔い改め、滅亡は免れました。このように聖書では40日と言う日数は、人々の罪を悔い改め、心を神様に向ける修練の期間として記され、歴史的に教会もその志を尊び、守ってきました。

本日の福音書は、イエス様が洗礼を受けられた物語が記されてありました。この物語は、先月の1月10日、主イエス洗礼の日に読まれた福音書と重なっています。そして、福音書では、イエス様が洗礼を受けられた時、天から神様の声が聞こえてきたとあります。「あなたは私の愛する子、私の心に適う者」

先週の福音書では、受難の前にイエス様が山の上で、神の栄光に輝く姿に変わられ、偉大なモーセとエリヤと出会われたとき、「これは私の愛する子。これに聞け」と言う天からの神様の声を3人の弟子たちは聞いていたことが記されていました。神様はイエス様の公生涯の重要な時に最も大切な言葉をかけておられます。それはイエス様を励ますと言うよりも弟子たちや福音書を読む私たちに最も大切なことを伝えようとされておられるのです。その大切なこととは、神様がみ子イエス様を愛しておられるということです。そして、この神様の愛によってイエス様は、この後、起こる困難を乗り越え、苦しみを耐え忍んでいくことができたのです。この神様の愛によって強められ、困難に立ち向かい、神の栄光ある復活の命にあずかると言うイエス様の命の在り方は、そのまま私たちに恵みとして与えられているのです。つまり、私たちもまた神様に愛されている存在であると言うことなのです。私たちの日々は楽しいことばかりではありません。特にコロナ禍にあってつらい思いをされておられる方も少なくありません。けれども、神様は私を愛してくださり、励まし、支えてくださる方のです。そのような神様の愛によって困難に耐え、信仰によって喜ぶ者でありたいと思います。

最後に本日の使徒書では、クリスチャンに与えられた神様の救いが教えられていますので、最後にそのみ言葉に心を傾けたいと思います。

「この水で前もって表された洗礼は、今やイエス・キリストの復活によってあなたがたをも救うのです。洗礼は、肉の汚れを取り除くことではなくて、神に正しい良心を願い求めることです。」1ペトロ3:21