2021年8月29日 聖霊降臨後第14主日(特定17)

主よ、わたしの岩、わたしの贖い主、わたしの言葉と思いがみ心にかないますように アーメン

先週26日アフガニスタンの首都カブールにある国際空港の近くで爆発があり多数の人が死傷したと報道されました。報道によりますと、この爆発はイスラム教過激派による自爆テロであり、イスラム教の過激派組織「イスラム国」が空港を狙った攻撃であったそうです。残念なことですが、世界では紛争がなくなりません。世界のどこかで尊い人の命が奪われていることは事実です。しかも、それが神の名によってなされているのですから、きっと神様も心を痛めておられることでしょう。世界には数多くの宗教、信仰が存在しています。2008年の調査ですが、世界の宗教人口は、キリスト教が33.4%、イスラム教が21.2%、ヒンドゥー教が13.5%、仏教が5.7%、ユダヤ教0.2%、その他の宗教11.7%、無宗教・無神論14.3%となっています。そして、世界中のすべての宗教では平和を求め、人の命を大切にすることが教えられているそうです。けれども、過激派と呼ばれる集団の人々は、自分たちの正義を実現するために暴力的な破壊行動を繰り返しています。

イエス様の時代にもユダヤ教に過激派は存在していました。かつて、その一員だった熱心党のシモンと呼ばれた人は、回心してイエス様の弟子となりました。熱心党と呼ばれる過激派、テロ組織はローマ帝国の悪政からユダヤ民族を救い出すためにしばしばクーデターを起こしましたが、ことごとく鎮圧され、多くのユダヤ人が殺されました。さらに過激派ではありませんが、ファリサイ派と言うユダヤ教の一宗派も、伝統的なユダヤ教の律法や習慣を固守しており、排他的な傾向を強く持っていました。ですから、他宗教や他文化への妥協はせず、また、律法や伝統的な習慣を守れない人々を軽視し、罪人と呼んで蔑んでいました。そして、ユダヤ教徒以外の異邦人や律法を守れない罪人に関わることで敬虔な信者が汚れてしまうと接触することを禁じ、帰宅したときには、どこでけがされているかわからないので宗教的な清めを必ず行うことが決められていました。そして、イエス様はそんな傲慢な信仰こそ神様のみ心に反していると指摘されたのです。

本日の福音書でイエス様は「人から出て来るものこそ、人を汚す。中から、つまり人間の心から、悪い思いが出て来るからである。」と教えられました。宗教に熱心な人だけでなく、自分の意見が正しく、自分の意に反する人は間違っていると批判し、排除することは恐ろしいことです。しかし、イエス様の教えはそれとは全く異なります。すべての人の心の中には闇の部分、神様に背を向ける罪があることを前提にされておられます。それゆえに神様のみ前で謙虚となり、その考えが本当に正しいのか熟慮し、そして、互いに赦し合うことが求められているのです。自分の弱さを見つめ、異なる人を認めることは、勇気のいることですが、本当の正しさ、正義とは変わらぬ神様のみ心を基準としたところにあるのです。

最後に聖パウロは、本日の使徒書の中で、正しく生きる方法を教えていますので、最後にそのみ言葉に心を傾けたいと思います。

「だから、邪悪な日によく抵抗し、すべてを成し遂げて、しっかりと立つことができるように、神の武具を身に着けなさい。」エフェソの信徒への手紙6章10節