2021年6月6日 聖霊降臨後第2主日(B年・特定5)

主よ、私の岩、私の贖い主、私の言葉と思いが御心にかないますように

ニュース報道によりますと『政府の新型コロナウイルス感染症対策分科会の尾身茂会長は2日の衆院厚生労働委員会で東京五輪・パラリンピックに言及した。開催に関し「いまの状況でやるというのは、普通はない」と述べた。』とありました。コロナ禍にあって開催しようとしている政府に対して反対ではないにしても縮小を提言することはなかなか勇気のいることではあったのでしょう。しかし、専門家としては当然の言葉だとは思います。他にも開催に関しては賛否両論が出ていますが、これが議論ではなく内輪もめであれば組織崩壊に向かうことになります。

本日の福音書、マルコによる福音書3章20節から35節の中でした。イエス様は神の国を説き、奇跡を行うことによって多くの人がイエス様のところにやって来ました。その人気に嫉妬した律法学者、宗教的指導者たちはイエス様の悪口を言い広め、家族を呼んで活動を止めるよう説得させようと企みます。彼らの流した風評は「イエスは悪魔の頭だから悪魔を追い出せる」と言う悪口でした。これに対してイエス様はこう答えられました。「どうして、サタンがサタンを追い出せよう。国が内輪で争えば、その国は成り立たない。家が内輪で争えば、その家は成り立たない。同じように、サタンが内輪もめして争えば、立ち行かず、滅びてしまう」

どんな組織でもそうですが、内部分裂すれば、その組織は崩壊してしまいます。一致するために議論することは良いのですが、互いに反発し、足を引っ張り合っていてはできることでも失敗してしまうでしょう。そういう意味では、イエス様の言葉は、最近よく耳にする「ワンチーム」と言うスローガンに反していません。むしろ、現代でもイエス様の教えが価値あることを証明しています。しかし、なかなか実現できないのは利害や立場などの人の傲慢さ故なのかもしれません。

本日は日本聖公会総会で定められました「地球環境のために祈る日」ですが、昨日、6月5日の国連の「世界環境デー」に合わせて定められています。しばしばこのような社会問題を教会で取り上げることに賛成できないと言われる方がおられますが、環境問題は、この世を創られた神様の世界に対して管理を委託されている人類がどのようにこの環境を守っていくことができるのかと言うことが聖書を通して問われており、社会の一員である教会もこの問題を学び、考えようということです。例えば、近年の異常気象の原因はCO2であることはかなり前から指摘されています。ですから、環境問題は政治と言うよりもむしろ、私たちの身の回りの生活につながる大きな問題であり、決して無関係でも、議員だけに任せることではないのです。けれども、この問題をすぐに解決する方法を私たちは持ちません。電気やゴミを少なくし、エコバッグの利用など小さなことから行うことが求められています。この世の作り主である神様は、目には見えませんが、私たちのために地球と言う良い環境を与えてくださった方なのです。コロナ禍で悪いことばかりに目が行きがちですが、この神様からいただいた多くの恵みを、私たちは共に感謝し、それを守れるように一緒に祈り、神様への信仰によって喜ぶことができる者でありたいと思います。

本日の福音書で、イエス様は神様が求めておられる神の家族について教えられましたので、最後にそのみ言葉に心を傾けたいと思います。

「見なさい。ここにわたしの母、わたしの兄弟がいる。神の御心を行う人こそ、わたしの兄弟、姉妹、また母なのだ。」マルコによる福音書3章34、35節

 

 

*お祈りください。

【地球環境のための祈り】

天地万物を創造された主よ。あなたは、すべてのものを造られ、それらをご覧になり『よし』とされ、祝福されました。そして、その管理をわたしたち人間に委ねられました。しかし、東京電力福島第一原子力発電所による災害が示すように、わたしたちはあなたのご命令にそむき、自らの欲望を満たすために自然環境を乱用し、破壊さえしています。今、そのことの故に世界中の多くの人々が苦しんでいます。どうかわたしたちがあなたのご命令に立ち帰り、あなたによって与えられた自然環境を大切に保全し、後(のち)の世代のために残すことができますように。また、原子力発電所による災害など、環境破壊の被害者の苦しみを取り除き、わたしたちの生活を変え、自然と共に生きることができますように。そして、自然を通じてあなたが現されるご栄光を仰ぎ見ることができるようにしてください。主イエス・キリストによってお願いいたします。アーメン