2021年2月7日 顕現後第5主日

主よ、わたしの岩、わたしの贖い主、わたしの言葉と思いがみ心にかないますように アーメン

先週の火曜日、2月2日に政府は、緊急事態宣言を3月7日までの一ヶ月間の延長を決定しました。これに伴い、昇天教会も礼拝の自粛を延期することになります。なお、神戸教区のホームページでは引き続き「主日説教」の動画を視聴することができますので、ご活用ください。本日の説教者は、神戸聖ミカエル教会の遠藤執事です。

さて、東京オリンピック・パラリンピック大会組織委員会の森会長が、先週3日に行われた日本オリンピック委員会(JOC)臨時評議員会で女性を蔑視したと受け取れる発言をし、翌日の記者会見で「五輪・パラリンピックの精神に反する不適切な表現だったと認識している」と発言の撤回と謝罪をしました。IOCのオリンピック憲章では「人間の尊厳の保持に重きを置く平和な社会の推進を目指すために、人類の調和のとれた発展にスポーツを役立てること」とその目的が記されています。組織の代表者の言葉と組織の働きが矛盾していれば、組織自体に不信感を持たれてしまいます。

本日の福音書は、シモン・ペテロの姑の病をイエス様が癒されたお話でした。先週の福音書にありました通り、イエス様が悪霊を追い出した奇跡を目撃したペテロは、熱に苦しむ姑の病をいやしていただくために、イエス様を自宅にお連れしたようです。悪霊追放のような激しい癒し方ではなく、「手を取って起こす」と言う自然な方法で完治しました。その後、イエス様に病気をいやしていただくために町中の人々が集まって来たと聖書は記しています。翌日、イエス様は祈りのために人気のない場所に行かれましたが、人々は、癒しの奇跡を求めてイエス様を探し求めました。これは人々がイエス様に対して「王になってほしい」と願い求めた最初であったと思いわれます。もし、イエス様が、王様となれば多くの人が恐れる病気がなくなるのですから、イエス様を人々が求めないはずはありません。今の時代に病気をいやせるイエス様のような人が現れたら誰もがそうすることでしょう。けれども、結局、イエス様は「王様」となることを拒否されました。なぜならば、人々の病をなくし、空腹を満たすことが、救い主としてのイエス様の目的ではなかったからです。イエス様は「神の国」を宣べ伝えるためにクリスマスの夜にお生まれになった方であったからです。そして、イエス様の奇跡は、その神様の力強さを明らかにし、人々を神様の恵みの中に迎え入れることにあったのです。イエス様は教えと行いが一致しています。つまり、イエス様は「神の国」を語り、奇跡によって「神の国」を人々に示されたのです。それは時間や場所、人種に縛られることなく、イエス様が何時でも何処でも誰にでも、神の国への道を指し示す救い主となられるためであったのです。わたしたちは神様への信仰により、この福音の中に迎え入れられており、どんなときにも信仰による喜びに生きることがゆるされている者なのです。

最後に聖パウロは、本日の使徒書の中で、自分が福音を宣べ伝える目的を教えていますので、最後にそのみ言葉に心を傾けたいと思います。

「福音のためなら、わたしはどんなことでもします。それは、わたしが福音に共にあずかる者となるためです。」