1933年 (昭和8年)11月18日生まれ。

古本さんへのインタビュー

1)信仰の道に入られたきっかけは?

父が徳島インマヌエル教会の司祭をしていた時に幼児洗礼を受けました。戦中、戦後の激動の中で、私自身が神への信仰を堅持することが出来たのは、地域の中で教会の活動とその運営を支えた両親への畏敬の念があったからだと思います。辛く苦しい日々の生活の中でも、等しく人と接する父の姿はこれまでの私自身の信仰の大きな支え(原点)でした。小学校の教員を経て、その後に牧師の道に進んだのもそうした父の影響が大きかったからだと思います。

2)司祭職に就かれてから嬉しかったことは?

結婚して子供に恵まれ成長する中で、当時の教会には同世代のご夫婦が集い、多くの子供たちの成長を一緒になって見守ることが出来たことはとても幸せでした。飯塚先生や西田先生を始め多くの関係者の皆様に支えて頂いたことで、運営面でも心に余裕がありました。教会活動の中で泊りのキャンプに出掛けたり、運動会をしたりと多くの笑顔と活気がありました。本当に楽しかった思い出です。

3)主教職としての思い出は?

 スケジュールが許す限り、教区内の各教会に足を運び、信徒の多くの皆さんと交流を重ねることで充実した時を過ごすことが出来ました。信仰活動に専念する為に、当時は主教職以外のお仕事はしないと決めておりましたので、学校法人からご依頼頂きました理事長職も全てお断りしました。主教として教区内の運営改革に苦慮することも多々ありましたが、信徒の皆さんや教役者に支えられ楽しく活動できたことは、神のお導きがあったからだと心より感謝しています。

4)今まで信仰を保つことが出来た秘訣は?

冒頭でお話した父や母の生き方に少しでも近づきたいとの強い思い、そして戦中、戦後の激動の時代に、苦労した両親を決して見捨てなかった、そして支えて下さった神さまを常に心から信頼していたからだと思います。

5)最後に

古本元主教は、昇天教会に20年以上いらっしゃったので、馴染みのある方も多いでしょう。長い赴任生活の中では様々な出来事があり、その経験が主教としてのお仕事に活かされていたようです。

戦中、戦後の苦難の中でも信仰をもって生きていくご両親の姿にあこがれ、ご自身の信仰の支えとしてこられました。言葉の端々から、ご両親から受け継がれた愛情と信仰心を感じられるインタビューでした。

瀬山司祭よりのコメント

ヨハネ古本純一郎主教様は、神戸昇天教会の牧師を30年近くも務められて神戸教区主教に按手され、その後、日本聖公会首座主教に選出されました。在職中、多くの素晴らしいお働きをされましたが、その原点は、古本正夫司祭ご夫妻の信仰の姿にあったそうです。これは家族への信仰の継承としての良きモデルであり、ここから私たちは学ぶべきことが多くあると思います。

主教時代ミカエル教会にて

徳島での幼少期。ご家族と共に